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新しい視点で情報教育を推進する研究者 伊藤大河

アニメレヴューAnimation Review

アニメのレヴューを対談形式で掲載します。
(需要があれば続くかもしれません)

グラスリップ - 第1話

えちぜん鉄道三国線

――第1話での注目シーンは?

 日之出浜神社で4人が花火を見ているシーンですね。

――なぜこのシーンに注目を?

 この日之出浜神社でのシーンに、「グラスリップ」という作品が凝縮されていると感じています。
 例えば、ラムネを飲む透子を見つめる雪哉と、そんな雪哉を見て視線を落とすやなぎのシーン。全くセリフが無い数秒のシーンですが、雪哉は透子に惹かれていて、やなぎは雪哉に惹かれていることが最初に暗示されたシーンです。この作品は多くを語らずこういう提示をするんだなとわかるシーンでした。
 また、やなぎが「……この面子も今年で最後ね」や「(前略)何があるかわかんない、って意味で」というネガティブ発言があるのですが、これは奇跡的に保たれている5人のバランスが、これから崩れてしまうかもしれないことを悟っています。さらに祐が幸の受け売りの言葉をいう場面や、それを信じて透子が「何があっても、未来のわたしが、全部解決してくれますように!」と花火に向かって願う場面など、先の展開について凝縮されているシーンだと感じました。

――そんなに細かく良く読み取れますね?

 1回では無理ですよ。アニメは3回くらい見てようやく色んな所に目が届くようになります。特にグラスリップは難解だと言われるように、多くを語らず視聴者に解釈を委ねる場面が多い作品でしたので、3回見るのは必須でしょう。
 また、この作品が難解だったと感じたのは若い方に多いはず。30代になってから見直すと理解できると思いますよ。

――他にお勧めのシーンは?

 やはり、やなぎが家に帰ったら部屋にニワトリが居たシーンでしょうか。部屋を開けてニワトリを認識した瞬間に、やなぎの中でいろんな感情が噴き出してますよね。単純にニワトリが部屋に居た驚きだけでなく、ニワトリを入れた雪哉に対する怒り、こんな無神経な雪哉を好きになっている自分への憤り。それら全てがあのシーンに詰まってます。
 そして、雪哉に一通り文句を言い放った後、「また――透子に頼まれたんでしょ?」と、やなぎは無意識に言ってしまうんですよね。終いには「あんた、透子に死んでって言われたら死ぬの?」とまで。惨めだとわかっていて言ってしまうやなぎの心境。それが自分への「そんなこと、わかってるわよ」で伝わってきますよね。目の前にいる雪哉はあくまでも透子を見ていて、雪哉の眼中にすら入れてもらえないもどかしさ。見ていてこっちまで切なくなってきます。

――まだまだ語り足りないようですが?

 当たり前じゃないですか! まだ殆ど話して無いに等しいです。でも、第1話でこの分量だと最後までやると大変なことになりそうですよね。そもそも需要あるんですか? 需要が無ければ打ち切りだし、もし需要があれば続けます。

――どうもありがとうございました

 ちなみに写真は現地で撮って来ました。日之出橋を電車が潜るシーン、グラスリップには何回も出てきますよね。
作品に興味を持たれた方はこちらで視聴できます。ぜひ。「グラスリップ」第1話無料配信 - ニコニコチャンネル


※ このレヴューは、アニメを視聴した筆者の見解を記したもので、アニメ製作者様とは一切関係ありません。


グラスリップ - 第2話

えちぜん鉄道三国線

――第2話での注目シーンは?

 やなぎが透子に電話で相談するシーンですね。

――なぜこのシーンに注目を?

 駆の登場シーンや麒麟館は重要なシーンですが、比較的わかりやすいので敢えて注目しなくていいなぁと。
 やなぎが透子に電話を掛けたのは、本当に「相談」なのかということです。やなぎは「ちょっと相談があって」と最初に言ってるんですが、透子に電話をすることで何を求めてるんでしょう。透子に告白することを伝え、さらに「(相手、誰だかわかる?」「でも雪――好きな人がいるみたい」と透子に投げかけることで、透子の心の内を確認すると同時に、ある種のけん制になってしまってるんですよね。やなぎはそのことに気付いてはいると思います。でも、そうせざるを得なかった。そんな彼女の心の揺らぎが感じ取れました。最後の「うまくいかなかったら――ウチ、みんなと一緒にいられない」という言葉は本心でしょうね。やなぎも、奇跡的に保たれている5人のバランスを崩したくはないんですよ。

――第1話でもやなぎに注目していましたが、やなぎがお好みですか?

 いや、透子派です。やなぎの性格は好きですよ。でも、友達にいて欲しいタイプですね。
 あの世界に自分がいたとしたら、間違いなく透子に恋心を抱くと思います。ああいう芸術肌に弱いんで。

――どうもありがとうございました

※ このレヴューは、アニメを視聴した筆者の見解を記したもので、アニメ製作者様とは一切関係ありません。


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共栄大学 国際経営学部 伊藤研究室





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